2019年上半期新作映画ベスト10

2019年上半期映画ベスト10

どうも、タイラー・Pです。
2019年も半年が経過したので、上半期のベスト10を選んでみました。

ルールはこんな感じ
・公開日が6月30日までの映画が対象です。
・『アベンジャーズ:エンドゲーム』だけは、特別枠にしておきます。
 なのでランキングからは除外しました。

・Netflix公開の作品も今回は除外しました。

では、早速10位からいきます。

第10位:

運び屋(クリント・イーストウッド監督)

巨匠クリント・イーストウッド監督による実話ベースの最新作です。

実在の80歳代でメキシコ麻薬カルテルの運び屋をしていたレオ・シャープをモデルに、麻薬取締官(ブラッドリー・クーパー)との駆け引きや、失われた家族との絆を描く。

御年88歳のイーストウッドですから、おそらく最後の主演作になるのではないかと思われます。歳を取った今でしか演じることができない、孤独な老人の佇まい。仕事に没頭するあまり、家族をないがしろにしてきた男が、最後に行きついた改心と懺悔。円熟の極みに達した御大の佇まいがたまりません。麻薬の運び屋の話ですが、夫婦の話になってるのが良かったです。

映画『運び屋』特報2
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第9位:

アメリカン・アニマルズ(バート・レイトン監督)

アメリカン・アニマルズ

ドラマとドキュメンタリーの合成のような、こんな映画は観たことがありませんでした。

アメリカの大学生4人が大学の図書館から約12億円相当のヴィンテージ本を強奪した、2004年に実際にあった事件を映画化。

俳優の演技によるドラマに、実際の犯人が顔出しで事件を振り返るインタビューが挿入されるという、半ドキュメンタリーのような構成。ケイパーもの(※)の映画を参考に強奪の計画を立てたり、老人に変装したり、ダメな仲間が大チョンボをしたり、ダメダメな「オーシャンズ11」という感じです。「特別な人間になりたいのに、なれない自分」という青春期のモヤモヤを描いた青春映画としても面白いです。

※ケイパーもの:チーム強奪もの

“映画みたい”に盗みだす衝撃の実話『アメリカン・アニマルズ』予告編

第8位:

COLD WAR あの歌、2つの心(パヴェウ・パヴリコフスキ監督)

COLD WAR あの歌、2つの心

第二次世界大戦終結後の冷戦下のポーランドとフランスを舞台に、音楽家と若い歌い手の長年に渡って続く激しい恋愛模様を描いた白黒映画。

この映画で描かれる男女関係は、監督の両親がモデルになっているということです。この映画で描かれているのは、愛とか恋とかいったような生ぬるいものではなく、もっとドロドロとした恐ろしいものです。本作でパヴェウ・パヴリコフスキ監督は、カンヌ監督賞を受賞しています。

ラストカットは映画史上に刻まれるべき美しさ。

映画『COLD WAR あの歌、2つの心』予告

第7位:

岬の兄妹(片山慎三 監督)

岬の兄妹

片山慎三監督は、あのポン・ジュノ監督の下で助監督を務めてきた人物で、本作が初長編監督作品となります。

兄と妹の2人暮らし。妹は重度の自閉症で、兄は足が不自由で仕事も解雇され、食べるものにも困る最貧困を生きています。兄は妹に売春させることで、なんとか2人の食い扶持を得ていきます。

近年、『万引家族』や『わたしはダニエル・ブレイク』など、貧困を描いた映画には、多くの優れた作品がありますが、『岬の兄妹』の目を背けたくなるほどのリアルさは群を抜いています。妹は、障害のため自分が売春させられていることも理解できないのですが、初めてできた外部とのつながりを経て、変化していきます。その変化に気づいた兄にも複雑な心境が起こります。そのあたりの人間描写がとても興味深かった作品です。一度みたら忘れられない「〇〇〇を投げるシーン」は圧巻。

片山監督には、粗削りながら、日本映画を牽引するであろう、すごい才能を感じました。次回作が楽しみな監督です。

映画『岬の兄妹』特報予告

第6位:

スパイダーマン:スパイダーバース(ピーター・ラムジー、 ボブ・ペルシケッティ、 ロドニー・ロスマン監督)

「なんだかんだ言っても、アニメは日本が一番!」
この映画を観るまではそう思っていました。『スパイダーバース』には、そんな思いを見事に打ち砕かれましたよ。

多次元世界からやってきた色んな種類のスパイダーマンが、主人公のなりたてスパイダーマンを助けつつ、皆で世界を救います。

あらすじや予告を観た時点では、まったく期待していませんでしたが、IMAX3Dで観て、ものすごく感激した作品です。
よっぽどでない限り、同じ映画を映画館に2回観に行くことはないんですが(『アベンジャーズ/エンドゲーム』は3回行きましたが)、『スパイダーバース』は2回観に行きました。1回目は字幕版で観たんですが、絵をじっくりと堪能したかったので、2回目は吹替版で観ました。とにかくアニメ表現がすごいので、アニメに集中できる吹替版がおすすめです。最近は3Dで観るべき作品は減っているように思いますが、本作『スパイダーバース』と『アクアマン』は3Dで観れてよかったです。

映画『スパイダーマン:スパイダーバース』予告3

第5位:

女王陛下のお気に入り(ヨルゴス・ランティモス監督)

女王陛下のお気に入り

18世紀のイングランド王室を舞台に、女王と彼女に仕える2人の小間使いの謀略と駆け引きを描いたヒューマンドラマ。

アカデミー賞の賞レースでも最多9部門でノミネートされ、オリヴィア・コールマンが主演女優賞を獲得したことでも話題となりました。実質主役のふたり、エマ・ストーンとレイチェル・ワイズも助演女優賞にノミネートされており、3人のアカデミー級の女優の贅沢な共演というだけで鳥肌ものでした。それだけではなく、撮影、美術、演出、音楽とすべてがハイレベルで非の打ちどころのない映画です。

個人的には、ロビー・ライアンによる撮影がすごく好みでした。

『女王陛下のお気に入り』予告編

第4位:

誰もがそれを知っている(アスガー・ファルハディ監督)

妹の結婚式のためにスペインの田舎町に帰ってきたペネロペ・クルス。結婚式のどさくさにまぎれて彼女の娘が誘拐されてしまう。事件解決のために奔走するうちに、次第に明らかとなる家族の秘密を描く、誘拐サスペンス。

実生活で実際の夫婦のペネロペ・クルスハビエル・バルデムが、元カレ、元カノという関係を演じています。(タイトル『誰もがそれを知っている』の”それ”とは、この2人の実生活の関係のことか?!と思ったり…。)田舎町ゆえの親族を含めた人間関係の濃密さの中に、あっと息をのむサスペンスが立ち上がる。観終わった後の、じめっとした余韻といい、すごく味わい深い映画です。

アスガー・ファルハディ監督はイランの巨匠監督ですが、監督作品は初体験でした。本作を観て、他の作品も観るべきだと思いました。

映画『誰もがそれを知っている』予告編

第3位:

バイス(アダム・マッケイ監督)

バイス

いよいよベスト3です。
『マネーショート 華麗なる大逆転』のアダム・マッケイ監督による『バイス』が第3位です。

ブッシュ政権下で、アメリカをイラク戦争へと導いたとされるディック・チェイニー副大統領を描いた政治ブラックコメディ。

バットマン役(クリストファー・ノーラン版)で有名なクリスチャン・ベールが、ブッシュ政権下のチェイニー副大統領を激太りして演じたことでも話題となりました。

政治家の伝記映画というと堅苦しい映画だと思うかもしれませんが、アダム・マッケイ監督の独特のコメディ調の語り口で語られるこの映画は、途中ビックリする展開もあったりして、飽きずに楽しく観れます。「こんないい加減で滑稽な面々が大国アメリカを動かしていていいの?」という現実が恐ろしいです。そして日本の現実についても考えさせられます。2019年を代表する政治映画です。

クリスチャン・ベイルが激変!映画『バイス』予告編

第2位:

凪待ち(白井和彌 監督)

凪待ち

第2位は、『凶悪』『彼女がその名を知らない鳥たち』『孤狼の血』など、撮る映画のほとんどが大傑作揃いの白石和彌監督の新作『凪待ち』です。SMAP解散後の香取慎吾さんが、本格的な俳優としての力量を見せつけた快作でした。

ギャンブル狂いで落ちぶれた男の「喪失と再生」を描く骨太のヒューマンドラマ。

香取慎吾がトコトンまで落ちていきます。「え?まだ落ちるの?これ以上はヤバくね?」という底落ち感が凄まじく、ぐったり疲れましたが、最後は「再生」が描かれるので、前向きな気持ちで映画館を出ることができました。慎吾ちゃんのギトギト脂ぎった演技も素晴らしく、舞台が震災の爪痕残る石巻というのも良かったです。

つらすぎる映画って「最高でも、もう二度と観たくない」と思うことが多いけど、この映画は不思議と「また観たい」と思える映画でした。白石和彌監督の映画の中でも、トップクラスに好きな映画になりましたよ。

映画『凪待ち』予告編
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第1位:

バーニング劇場版(イ・チャンドン監督)

2019年上半期の第1位は、『オアシス』『シークレット・サンシャイン』『ポエトリー アグネスの詩』のイ・チャンドン監督による『バーニング劇場版』です。

村上春樹の短編「納屋を焼く」(1983)を原作に、大胆にアレンジしたミステリードラマ。主人公は小説家志望の青年で、街で幼馴染みの女の子ヘミと偶然に再会し仲良くなりますが、謎の金持ち青年が入ってきて、奇妙な三角関係となります。金持ち青年は「ぼくは時々、ビニールハウスを燃やしているんだ」と主人公に秘密を打ち明けます。そして突如、ヘミは行方不明になります。一体彼女はどこへ行ってしまったのか?主人公はヘミを探し回るが…。

もう、観てる間中、幸せな気持ちでいっぱいでしたよ。イ・チャンドンの映画って、物語の中では結構ひどいことが起こったりもするんですが、「世界」という流れに身を任せているような、ただただ映像が沁み込んでくるような不思議な感覚になるんですよね。

ミステリーの体裁を取ってますが、犯人は誰か?とかそういう映画じゃないですからね。ただ感じればいいんです。

映画『バーニング 劇場版』予告編

2019年上半期ランキングベスト10:まとめ

半年間の映画ですら、10本に絞るのはすごく大変でした。並べてみると「この映画は入るだろう」と考えていた映画も入れることができないほどの僅差でした。ランキングのたぐいは、選ぶ日の気分によって違うものになることは多々あるものなので、本年度の終わりには、大きく変動している可能性も十分にあります。

なお、次点としては、『アクアマン』『美人が婚活してみたら』『グリーンブック』『ビールストリートの恋人たち』『ブラック・クランズマン』『さよならくちびる』『旅のおわり世界のはじまり』『愛がなんだ』『ウィー・アー・リトルゾンビーズ』『キャプテン・マーベル』『クリード 炎の宿敵』あたりでしょうか(多いな…)。

特に『アクアマン』は近年のアメコミ映画の中では出色の出来栄えで、めちゃくちゃ楽しい映画でしたし、大九明子監督の『美人が婚活してみたら』は、あの大ヒット作『勝手にふるえてろ』の次の作品ということで、かなり期待して観に行きましたが、期待どおりの面白さでした。あんまり注目されなかったのは残念でした(面白いのに!)。

下半期はどんな映画と出会えるのか?とても楽しみです(´∀`)

再度、1~10位までをまとめておきます。

1位:バーニング劇場版
2位:凪待ち
3位:バイス
4位:誰もがそれを知っている
5位:女王陛下のお気に入り
6位:スパイダーマン:スパイダーバース
7位:岬の兄妹
8位:COLD WAR あの歌、2つの心
9位:アメリカン・アニマルズ
10位:運び屋
(特別殿堂枠『アベンジャーズ/エンドゲーム』)

おまけ:2019年上半期 ワースト2

おまけの「ワースト2」です。

選んだ基準は、観る前の期待値との乖離が大きかったものです。
あくまで個人的な感想ですので、この映画が好きな人も怒らないでくださいね(;´A`)

・麻雀放浪記2020(白石和彌監督)
・ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(マイケル・ドハティ監督)

順不同です。

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2019年上半期映画ベスト10

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